「iDeCoとNISA、どっちがいいですか?」と聞かれたら、私は迷わず「NISAを先に」と答えます。
そして正直に言うと、私はiDeCoをやっていません。節税効果があることは知っています。会社の企業型DC(確定拠出年金)には加入していますが、個人型のiDeCoは別の話として、加入しない判断をしました。理由は3つあります。
iDeCoの最大のメリットは「所得控除」
まずiDeCoの良い点を整理します。
掛け金が全額所得控除になるのは、他の投資制度にはない強みです。たとえば毎月2万円積み立てると、年間24万円が所得から差し引かれます。課税所得によって変わりますが、年収500万円前後の会社員なら年間4〜5万円ほど税負担が減る計算です。確かに魅力的です。
それでも私がやらない理由①:60歳まで引き出せない
iDeCoは原則60歳になるまで引き出せません。
NISAであれば、いつでも売却して現金化できます。もちろん、投資資産を生活費の穴埋めに使うのは本来避けたいことです。そのために生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分程度)は別で確保しておくのが前提です。ただ「いざとなれば出せる」という選択肢があること自体が、精神的な安心感につながっています。iDeCoにはその選択肢がありません。
理由②:受け取り時に「卒業試験」がある
iDeCoを受け取るとき、会社の退職金との組み合わせ次第で税金が大きく変わります。ここが非常に複雑で、私は「卒業試験」と呼んでいます。
一時金で受け取ると退職所得控除が適用されますが、会社の退職金と同じ控除枠を取り合う形になります。受け取る順番と間隔が重要で、2026年1月からルールが改悪されました。
以前は「iDeCoを先に受け取り、5年後に退職金を受け取れば両方に控除が使える」というルールでしたが、この間隔が10年に延長されました。逆に退職金を先にもらった場合、iDeCoは20年後でないと控除が使えません。
退職のタイミングを自分でコントロールできる人は多くないと思います。会社の都合で退職時期が変われば、せっかくの節税が崩れる可能性があります。
理由③:制度が改悪されても逃げられない
NISAは途中で売却してやめることができます。制度が不利な方向に変わっても、現金化して別の手を打てる。
iDeCoはそれができません。60歳まで強制的に続けるしかない。今回の5年→10年への変更がまさにその例です。加入時には想定していなかったルール変更が、出口の税金に直結する。身動きの取れないiDeCoより、自由度の高いNISAのほうが自分には合っていると判断しました。
NISAで月5万円・20年積み立てるといくらになるか
新NISAは生涯投資枠1,800万円、年間最大360万円まで非課税で使えます。
試しに計算してみます。月5万円をS&P500(想定年利7%)で20年間積み立てると——
- 元本:1,200万円
- 運用後の総額:約2,600万円
- 運用益:約1,400万円(NISAなら全額非課税)
通常なら運用益に約20%の税金がかかるところ、NISAなら約280万円の節税になります。
2,600万円を60歳から85歳まで25年間で取り崩すと、月あたり約8.7万円になります。会社の企業型DCや公的年金と合わせれば、老後の生活費として現実的な数字に届くと思っています。iDeCoの複雑な出口戦略を考えるより、NISAをシンプルに積み上げるほうが、私には合っています。
まとめ
- iDeCoの所得控除は魅力的だが、60歳まで引き出せない
- 退職金との受け取りタイミング次第で税負担が大きく変わる(2026年から10年ルールに改悪)
- 制度が変わっても途中で抜けられない
- 月5万円・年利7%・20年でNISA運用すると元本1,200万円→約2,600万円
- 企業型DCと公的年金と合わせれば、NISAだけで老後資金の核は作れる


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