「貯蓄率は手取りの2割が目安」「いや、3割は貯めたい」。貯蓄率の話になると、こういう数字をよく見かけます。私も投資を始めたころは、この目安を真に受けて、無理に手取りの3割を貯めようとしていた時期がありました。
先に結論を書きます。いまの私は、この「何割貯めるべきか」という目安を、あまり気にしていません。数字を追いかけて苦しくなるより、続く仕組みを作るほうが、結局は貯まる。投資を8年続けてきて、そう考えるようになりました。
今日は、貯蓄率の目安とどう付き合うか、私が遠回りして気づいたことを書きます。「何割貯めればいいのか分からない」と感じている、40代の方に向けた記録です。
目安の「3割」を真に受けて、苦しかった話
投資を始めたころ、私は「手取りの3割を貯蓄・投資に回すのが理想」という数字を、どこかで見て真に受けました。それで、当時の家計のまま、無理やり3割をひねり出そうとしました。
結果はどうだったかというと、続きませんでした。当時の私は、保険料を月6万円も払っていて、固定費が重いままでした。その状態で貯蓄率だけ上げようとすると、しわ寄せは食費や日々の楽しみに来ます。外食を我慢し、ほしいものを後回しにして、数字だけ追いかける。数ヶ月はできても、だんだん息苦しくなって、結局どこかで反動が来る。「今月は貯められなかった」と落ち込む月も、何度もありました。
いま思えば、順番が逆でした。生活を削って貯蓄率を上げようとしていましたが、削るべきは日々の楽しみではなく、もっと別のところでした。
数字より「続く仕組み」に切り替えた
転機になったのは、貯蓄率という「割合」を見るのをやめて、固定費という「金額」を見直したことでした。
いちばん大きかったのは保険です。月6万円払っていた保険を見直したら、必要な保障だけ残して、大きく下げることができました。通信費も格安SIMに変えました。こうして固定費が下がると、不思議なことが起きます。生活の楽しみは前と変わらないのに、月末に残るお金が増えていきました。
貯蓄率を上げるために我慢していたときは、あんなに苦しかったのに、固定費を下げたら、我慢しないまま貯まるようになった。この差は大きかったです。貯蓄率は「頑張って上げる数字」ではなく、「仕組みを整えた結果、後からついてくる数字」なんだな、とこのとき腑に落ちました。
「手取りの9割で暮らす」くらいの気持ちでいい
貯蓄率の目安について、私がいま一つの目安にしているのは、「手取りの9割で暮らせれば十分」という考え方です。裏を返せば、まず手取りの1割を先に貯める。残りの9割で暮らす。それくらいから始めれば、無理がありません。
1割なんて少なすぎる、と感じるかもしれません。私も最初はそう思いました。でも、ここで言う手取りには、ボーナスや残業代は含めていません。さらに、旅行や家電の買い替えといった「特別費」も、毎月の手取りとは別に取り分けておく。そうすると、年単位でならしてみたときの貯蓄は、月々の1割よりずっと多くなります。毎月きっちり2割3割を絞り出さなくても、ふたを開けてみれば十分だった、ということが、けっこうあるんです。
3割貯めなきゃ、と気負うと、続かなくて自己嫌悪に陥ります。それより、1割でいいから毎月きちんと積み立てて、その習慣を止めないほうが、長い目で見るとずっと効いてきます。貯蓄率の数字そのものより、「毎月続いている」という事実のほうが、私にとっては大事でした。
もちろん、これは私の場合の話です。家族構成も収入も人それぞれで、貯められる割合に「唯一の正解」はありません。大事なのは、他人の目安に自分を無理やり合わせないことだと思っています。
私の貯蓄率は、上げようとして上がったのではない
実際、私が月の積立額を3万円から10万円まで増やせたのも、「貯蓄率を上げるぞ」と目標を立てたからではありませんでした。固定費を下げて、収入が少し増えて、そのつど「これなら無理なく回せる」という額に、少しずつ動かしてきた結果です。気づいたら増えていた、という感覚に近い。
だから、いま貯蓄率が低くて焦っている人がいたら、私の遠回りが少しでも参考になればと思います。割合を無理に上げようとするより先に、私はまず固定費を見直しました。そこが下がれば、我慢しなくても、貯蓄率は後から自然についてくる。その具体的な変遷は、別の記事に時系列でまとめました。
では、自分にとっての正解は、どう見つけるか
ここまで「目安は気にしない」と書いてきましたが、では自分にとっての正解は、どう見つければいいのか。私が行き着いたのは、「いつ、何にお金を使いたいか」を先に考える、というやり方でした。
たとえば、10年後に子どもの教育費がかかると分かっているなら、いまは少し多めに貯めておく。逆に、家族との旅行のように「今しか作れない思い出」があるなら、目安を無視してでも、いま使ったほうがいいこともあります。旅行は、親が高齢になったり、子どもが部活や受験で忙しくなったりすると、お金があっても行けなくなる。お金には「使うのに向いた旬」のようなものがある、と最近よく感じます。
だから、貯蓄率の正解は、ざっくりでいいので、自分のこれからのお金の使い道を思い描いてみて、はじめて見えてくるものだと思います。私自身、人生の時間をいくつかに区切って「いつ何にお金を使いたいか」を書き出してみたら、そもそも何のために貯めるのかが変わりました。その話は、別の記事にまとめています。
まとめ|何割が正解かより、まず続くことから
貯蓄率の目安は、あくまで出発点の参考にすぎません。2割でも3割でも、その数字に自分を縛られて苦しくなるなら、いったん手放していいと思います。
私のおすすめは、まず手取りの1割を先に貯める習慣をつけること。そして、貯蓄率を上げたくなったら、生活を削るのではなく、固定費を見直すこと。この順番なら、我慢は最小限で、続けられます。貯蓄率は、頑張って上げるものではなく、家計を整えた結果、静かについてくるものだと、私は考えています。家計全体をどう整えるかは、別の記事にもまとめています。

