ネット銀行に、給与も貯金も、ほとんど集約しています。振り込みも口座間の移動もアプリで完結して、正直、本当に便利です。窓口や通帳に並んでいたころには、もう戻れません。
ただ、便利さの裏で、ときどき不安がよぎるようになりました。もしこの口座が誰かに乗っ取られて、中身を根こそぎ持っていかれたら、と。今日は、その不安を減らすために私がやった、地味なセキュリティ設定の話です。
便利で一箇所にまとめた。だからこそ、怖い
以前、給与振込を住信SBIネット銀行に集約して、目的別口座で管理している話を書きました。おかげで、毎月のお金の振り分けは、ずいぶん楽になりました。
ただ、一箇所にまとめれば、そこを破られたときの被害も、一箇所に集中します。集約は家計管理の面では、間違いなく正解でした。でも守りの面では、その一箇所をきちんと固めないと、というプレッシャーが、あとからついてきたんです。
「どうせ補償される」と思っていたら、甘かった
最初、私は漠然と「万一のときは、銀行が補償してくれるだろう」と考えていました。ニュースで、身に覚えのない海外送金で口座から数百万円が消えた、というような話を見ても、どこか他人事だったんです。自分に限って大丈夫、という、あの根拠のない安心ですね。
でも、例によって気になって調べ始めたら、思っていたのとだいぶ違っていて、少し背筋が寒くなりました。
まず、よく聞く「預金者保護法」は、偽造カードや盗まれたカードでATMからお金を引き出された場合が対象で、ネットバンキングの不正送金は、この法律の対象外なんだそうです。では何で守られているのかというと、全国銀行協会が2008年に決めた申し合わせ、いわば業界の自主ルールでした。
個人の場合、過失がなければ原則として補償されます。ただし、こちらに過失があると減額され、重大な過失があると、補償されないこともある。金融庁が調べたところ、2019〜22年度の不正送金被害のうち、8.2%はまったく補償されなかったそうです。ゼロではない数字だな、と思いました。
「補償されるから大丈夫」ではなく、「補償されないこともある。だから、そもそも被害に遭わないよう、自分で入り口を固めるしかない」。私のなかで、意識が切り替わった瞬間でした。
私が実際にやった、入り口を固める設定
とはいえ、やったことは、どれも難しいものではありません。
- アプリでの取引認証(住信SBIなら「スマート認証NEO」)をオンにして、振り込みのたびに、手元のスマホで承認する形にした
- ログインや取引のパスワードは、1Passwordというパスワード管理アプリに任せて、サービスごとに全部バラバラの、自分でも覚えていない複雑なものにした(使い回しをやめた)
- 銀行を名乗るメールやSMSのリンクからは、絶対にログインしない。アプリはホーム画面に置いて、そこからしか入らない
- 普段使いの口座には、当面いる分しか置かず、残りは別の口座に分けておく
とくに効いている実感があるのは、最初の「スマホでの承認」です。振り込みのたびにアプリを開いて承認するのは、正直、はじめのうちは少し面倒でした。でも、この一手間があるだけで、自分の知らないところで勝手にお金が動かされる、という事態は、ぐっと起きにくくなります。面倒くささと引き換えの安心だと思えば、悪くない取引です。
最後の「口座を分ける」は、目的別口座の延長です。生活費の口座がもし破られても、貯蓄の本体は別のところにある。全額を一箇所に置かない、というだけで、最悪のときの被害は、だいぶ小さく抑えられます。
逆に、やめた対策もある
調べていて意外だったのが、「定期的にパスワードを変える」のは、今はあまり意味がない、とされていることでした。
頻繁に変えようとすると、かえって単純なパスワードになったり、少しずつ似たものにしたりして、結局は弱くなりがちなんだそうです。それよりも、一つひとつを長く複雑にして、使い回さないほうが、ずっと効く。複雑なパスワードは、もう自分で覚えるのは端から諦めて、さきほどの1Passwordに全部覚えてもらっています。おかげで、律儀に3ヶ月ごとに変えていたのもやめて、そのぶん一つひとつを強くすることに、頭を使えるようになりました。まじめにやっていた対策が、実は逆効果だったというのは、ちょっと悔しかったですが。
絶対の安全はない。でも、お守りにはなる
正直に書くと、これで絶対に安全、とは言えません。手口は年々巧妙になっているので、100%はない。それでも、入り口を一つずつ固めておけば、少なくとも「何もしていなかった自分」よりは、被害に遭う確率も、遭ったときに補償される可能性も、ずっとましになります。
ネット銀行は、便利さと引き換えに、この「自分で守る」という部分を、少しだけ引き受ける必要があるんだろうと思っています。私にとっては、夜きちんと眠るための、わりと安いお守りのようなものです。
口座を住信SBIに集約して目的別に分けた話はこちらに、銀行口座を減らして整理した話はこちらに書きました。詐欺そのものの見分け方は投資詐欺の見分け方に、お金全体の整え方は40代の資産形成は何から?にまとめています。
※補償の条件や制度は変わることがあります。最新の内容は、各金融機関や全国銀行協会の公式情報でご確認ください。本記事は2026年7月時点の情報と、私個人の経験に基づいています。


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