帰省中、母がスマホの「アップデート」を押しかけていた。横にいた私が、こっそり整えた詐欺対策

黒い電話の受話器とコード(詐欺対策・固定電話のイメージ) 節約・生活費

先日帰省したとき、母がスマホの画面をじっと見ていました。「アップデートしてください」という警告が出ていて、まさに指が画面に伸びかけていた。横にいた私が「それ、押しちゃダメ」と止めました。

偽物でした。本物のアップデートを装って、変なアプリを入れさせたり、個人情報を抜いたりする手口です。

ヒヤッとしました。そして同時に思いました。——次に同じ画面が出たとき、私はそこにいない。

今日は、離れて暮らす親を詐欺から守るために、私がやったことを書きます。きれいな成功談ではありません。「守れることは、仕組みで守るしかない」と腹をくくった話です。

親が「賢いかどうか」の問題ではない

誤解のないように書くと、母は決して鈍い人ではありません。同じ時期に届いた「料金未払い」のショートメッセージは、ちゃんと「これ怪しいわよね」と見抜いていました。

それでも、アップデートを装った画面には、指が伸びかけた。

つまり、見抜けるものと見抜けないものがある。そして手口は年々巧妙になり、一方で認知機能はゆっくり下がっていく。これは誰にでも起きることで、親を責める話ではありません。

だからこそ、「気をつけてね」と口で言うだけでは守れない。注意力や意志に頼る対策は、いつか必ず破られる。そう考えて、私は仕組みのほうを変えることにしました。

まずは、スマホ側を整えた

帰省のあいだに、親のスマホを、こっそり整えました。「あなたが危ないから」と言うと、プライドを傷つけてしまう。だから、さりげなく環境だけ変えるようにしています。

ひとつは、迷惑電話を判定するアプリ。「電話帳ナビ」を親のスマホに入れました。知らない番号からの着信に「営業の可能性」「詐欺の報告あり」と表示が出ます。さらに、危険度が高いと判定された番号は、着信音すら鳴らない設定にしました。出るか出ないか迷う以前に、気づきもしないうちにブロックされる。これがいちばん安心でした。

もうひとつは、メールです。親はこれまで携帯会社のキャリアメールを使っていたのですが、Gmailをメインに変えてもらいました。Gmailは詐欺メール・迷惑メールの振り分けがかなり優秀で、怪しいものは最初から迷惑メールフォルダに振り分けられ、目に触れにくくなります。届かなければ、引っかかりようがありません。

キャリアメールのアドレスを長年使っていると、変えるのは少し面倒に感じます。でも、迷惑メールの量が体感で激減したので、やってよかったと思っています。

外国からの電話は、入り口ごと止められる

そして、いちばん効くと感じているのがこれです。

警察庁によると、2025年に特殊詐欺で使われた電話番号の、およそ75%が国際電話番号だったそうです。逆に言えば、国際電話を使わない家庭なら、ここを止めるだけで、詐欺の入り口を大きく塞げる。

うちの両親が、海外と電話することはまずありません。それなら、固定電話の国際電話は止めてしまったほうがいい。そう考えて、休止の手続きをしました。

申し込み先は「国際電話不取扱受付センター」。電話番号は0120-210-364(通話料無料)で、固定電話・ひかり電話の国際電話の発着信を、無料で止められます。NTT東日本・西日本、KDDI、ソフトバンク、NTTドコモビジネスの5社が共同で運営している公式の窓口で、警察庁も案内しているものです。ネットからの申し込み(kokusai-teishi.com)もできます。

「うちは国際電話なんて使わない」という家庭ほど、止めておく価値があります。使わないものを止めるだけなので、生活は何も変わりません。変わるのは、詐欺の電話が一本減ることだけです。

スマホのほうも、各キャリアが用意している迷惑電話対策で、海外発の着信を弾くようにしました。

固定電話そのものも、見直している

ここまでやって、ふと思いました。そもそも、固定電話は本当に必要なのか。

今どき、固定電話にかかってくるのは、営業か勧誘くらい。固定電話がある家ほど「高齢者がいる」と見なされて狙われやすい、とも聞きます。本当に解約していいか、いま親と話しているところです。まだ結論は出ていません。長く使った番号を手放すのは、親にとっては小さくない決断なので。

心配は消えないけれど

正直に言うと、これで安心しきれるわけではありません。離れて暮らしている以上、心配でないといえば嘘になります。認知機能は、これから少しずつ下がっていく。それは事実です。

でも、意志や注意力に頼る対策は、いつか破られる。それなら、破られにくい仕組みを先に作っておく。アプリ、メール、着信設定——どれも、私が実家にいなくても効き続けてくれます。

親孝行というほど大層なものではなくて、私が安心したいから、というのが本音かもしれません。

あなたの実家の電話、設定はどうなっていますか

もし親御さんと離れて暮らしていて、同じ不安があるなら、次の帰省のときに、設定をひとつだけ見てあげるといいと思います。迷惑電話アプリを入れる、メールをGmailにする、国際電話を止める。どれも、たいした手間はかかりません。

「気をつけてね」と100回言うより、設定をひとつ変えるほうが、たぶんずっと効きます。

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