「複利こそ人類最大の発明」
投資の本を1冊でも読んだことがある人なら、誰しも目にしたことのある言葉だと思います。アインシュタインの言葉、と紹介されることもあります。
ただ、正直に言うと、私はこの言葉を長いこと「頭ではわかる、けど体感が伴わない」状態のまま受け流していました。
複利って、要するに利息に利息がつく仕組みでしょ?知ってる、知ってる。それで終わっていた。
最近、仕事の合間にエクセルを開いて、自分用のシミュレーションをちょっと作ってみたんです。
そうしたら、グラフを見て、ちょっと怖くなりました。
ピンと来てなかったのは、数字を表でしか見ていなかったから
数字の表で「年利7%で20年だと元本が約4倍」と書かれても、4倍は頭の中で漠然とした数字でしかありません。
エクセルで縦軸が金額、横軸が年数のグラフを作って、月3万円ずつ積み立てた場合の線を引いてみたら、見え方が全然違いました。
最初の数年は、ほぼ直線です。積み立てた分が、ちょっとずつ増えていくだけ。
ところが、10年を超えたあたりから、線がぐんと上に曲がり始める。15年、20年と進むにつれて、曲がり方が加速していく。
これが「複利の力」を視覚で見るということなのか、と、ようやく実感できました。
まず、年利7%という数字の根拠
シミュレーションに入る前に、「年利7%」という前提について書いておきます。これは私が勝手に決めた数字ではなく、よく使われる根拠があります。
- S&P500(米国株インデックス):過去30年の年平均リターン 約9〜10%、インフレ調整後で約7%
- 全世界株式(オルカン):過去20年の年平均リターン 約7〜8%
- 長期インデックス投資の標準的な期待値:年7%前後
「年利7%」は、長期インデックス投資の話で現実的に期待されるラインの数字として、よく使われています。
ただし、これはあくまで過去の平均であって、未来を保証するものではありません。20年後に同じリターンが続いている保証は、誰もしてくれない。
月3万円を20年積み立てた場合のシミュレーション
積立元本は720万円(月3万円 × 12ヶ月 × 20年)。
年利7%で運用できた場合、グラフはこう動きます。
| 年数 | 元本 | 年利7%の試算 |
|---|---|---|
| 5年後 | 180万円 | 約215万円 |
| 10年後 | 360万円 | 約520万円 |
| 15年後 | 540万円 | 約950万円 |
| 20年後 | 720万円 | 約1,563万円 |
月3万円を20年続けた元本720万円が、約1,560万円になる試算。
増えた分は約840万円です。これは元本そのものより大きい金額。
最後の5年間(15→20年)だけで、約610万円増えています。後半に複利が一気に効いてくるのが、表で見るとよくわかります。
月5万円・20年(40歳から始めたケース)
少し金額を上げてみます。40歳の人が月5万円を年利7%で20年積み立てた場合。
| 年数 | 元本 | 年利7%の試算 |
|---|---|---|
| 5年後 | 300万円 | 約358万円 |
| 10年後 | 600万円 | 約866万円 |
| 15年後 | 900万円 | 約1,586万円 |
| 20年後(60歳) | 1,200万円 | 約2,606万円 |
月5万円を20年続けた元本1,200万円が、約2,600万円になる試算。
増えた分が約1,400万円です。これは1,200万円の元本より大きい金額。
よく言われる「老後資金2,000万円問題」に対して、月5万円・20年積み立てれば、それだけで2,600万円。本業の年金と合わせれば、老後の不安は確実に減ります。
「年利7%が20年続く保証は誰もしない」のは前述の通りですが、過去の長期平均で見れば、十分にあり得る数字ではあります。
若いうちなら、もっと安心が増える
「もし30歳から、月5万円を年利7%で30年積み立てたら?」
| 年数 | 元本 | 年利7%の試算 |
|---|---|---|
| 10年後(40歳) | 600万円 | 約866万円 |
| 20年後(50歳) | 1,200万円 | 約2,606万円 |
| 30年後(60歳) | 1,800万円 | 約6,100万円 |
月5万円・30年・年利7%で、約6,100万円。
元本は1,800万円なのに、運用益が4,300万円。運用益が元本の2倍以上になる世界です。
これが「早く始めたほうがいい」と多くの人が言う、本当の理由なんだと思います。
20代から始めれば、さらに安心の幅は広がる。始める時期が早ければ早いほど、最後の伸びが効いてくる。
「20年後の自分」が、少しリアルに見えてしまった
このシミュレーションを並べていて、ふと思ったことがあります。
20年って、近いようで遠い。遠いようで近い。
20年前って、私はまだ20代の終わり頃でした。当時の20年前って、ものすごく昔に感じていたはずなのに、今振り返ると意外にあっという間です。
ということは、これから先の20年も、同じくらいの速さで過ぎていく可能性が高い。
何もしないで20年経つのと、月5万円積み立てて20年経つのとでは、60代の選択肢が違ってくる。これを直感的に感じたとき、ちょっと怖くなったんです。
それでも複利を100%信じきれない理由
ここまで書いておいて言うのもなんですが、私は複利を「絶対」とは思っていません。
理由はいくつかあります。
ひとつは、過去のリターンが将来を保証しないということ。年利7%は過去の平均からの推定値であって、20年後にそうなっている保証は誰もしない。
もうひとつは、暴落の経験です。先月公開した記事にも書きましたが(暴落したとき私がやったこと・やらなかったこと)、グラフが綺麗な右肩上がりに見えるのは、過ぎ去った後だから。
リアルタイムでは、途中で何度も大きく下がる時期があります。グラフが下に折れている瞬間に、私が冷静でいられる保証もない。
3つめは、税制や制度の変化。新NISAになって良くなった部分もあれば、20年後にどう変わっているかわからない部分もある。
複利は強力だけれど、「正しい使い方ができた人にだけ働く」仕組みなんだろうな、と思っています。
結局、複利・分散・時間 の3点セット
複利の本当の力を引き出すには、3つの条件がそろう必要がある、と私は理解しました。
- 複利が効く仕組み(投資信託・ETFの再投資型)
- 暴落しても全滅しない分散(インデックス・国際分散)
- 途中で売らない時間(最低でも10〜15年)
この3つが揃わないと、複利のグラフは綺麗に立ち上がりません。逆に言えば、揃えばかなりの確率で恩恵を受けられる仕組みでもある。
早く始める。続ける。触らない。
最後に、シミュレーションを作って改めて自分に言い聞かせている3つを書いておきます。
- 早く始める(時間が長いほど複利は効く)
- 続ける(積立金額より、続ける年数の方が効く)
- 触らない(一度始めたら、暴落しても売らない)
これだけです。
特別なテクニックは、たぶん要らない。
40代から始めて20年積み立てれば、60代で確実にいくらか違う景色が見える。
20代・30代の方なら、もっと早く始めれば、もっと早く安心の幅が広がる。
そう信じて、今日も淡々と続けています。


